

第38回「学芸員のつぶやき」は、神戸海洋博物館の印藤昭一さんです。
神戸海洋博物館は、神戸開港以来みなとまち神戸の象徴でもあったメリケン波止場と神戸ポートタワーが位置する中突堤との間を埋め立てて造成されたメリケンパークの開園にあわせ、神戸開港120周年にあたる1987年に開館しました。
その後、1995年1月に発生した兵庫県南部地震により被災した旧メリケン波止場は、神戸港震災メモリアルパークとして整備されました。また2015年の「震災20年神戸からのメッセージ発信」プロジェクトから生まれた「BE KOBE」をかたどるモニュメントが開港130周年を迎えた2017年のメリケンパークリニュアルにあわせて設置され、ベイエリアを代表する「映えスポット」として連日にぎわいを見せています。
メリケンパークと共に歩んできた当館は、大海原を駈ける帆船の帆と波をイメージしたとされる屋上の特徴ある「スペースフレーム」の造形と夜間のライトアップでやはり「映えスポット」として親しまれています。当館の外観が神戸のまちを象徴する光景として神戸ポートタワーとともに頻繁に取り上げていただけることは、勤務する私たちの誇りです。
そんな私たちの悩みは、みなと神戸を象徴する景観の一つとして確固たる地位を築いている「スペースフレーム」の下が博物館であることが意外と認知されていないらしいという現実です。また館内には、川崎重工業(株)の企業博物館であるカワサキワールドが併設されていますが、SNSでの反響や来館者アンケートの記述を拝見すると、明らかに高頻度で当館と混同されており(おかげさまで)施設として高評価を頂戴して現状も、うれしい反面で複雑な心境でもあります。
当館は、まもなく開館から40年の節目を迎えることになります。この間に施設面では、2006年のカワサキワールド併設、2020年の大規模リニュアルと2度にわたる大きな変化を経て今日に至っています。建物の躯体は基本的に当初のままですが、各室の用途やしつらえが当初のコンセプトからかなり変動しているため、展示設営や利用者の導線の構成には毎回苦心します。
カワサキワールドは、企業博物館としてタイムリーな改装の積み重ねを通じて存在感、リピーターと高評価をしっかりと獲得されています。当館も屋根(「スペースフレーム」)とあとから入居されたカワサキワールドさんの知名度を目標に、母屋にふさわしい企画と広報を打ち出さねば!と拳を握りしめる日々です。
神戸海洋博物館
副館長・学芸員 印藤 昭一

