

第34回「学芸員のつぶやき」は、口之津歴史民俗資料館の木村岳士さんです。
口之津歴史民俗資料館は、現在、口之津港ターミナルビル2F本館と旧長崎税関口之津支署庁舎のある分館の2館で運営をしています。
分館は複数の建物で構成され、その中の一つが昭和56年5月に開館した口之津歴史民俗資料館です。口之津歴史民俗資料館は、旧口之津町(現在は南島原市)が長崎税関から払い下げを受けた「旧長崎税関口之津支署庁舎」で、平成2年3月には「旧長崎税関口之津支署庁舎」が長崎県指定有形文化財に指定されました。
口之津港は、世界文化遺産である明治日本の産業革命遺産の構成である三池炭鉱・三池港・三角西港と関係が深い港です。当時、工部省所管の官営三池炭鉱の一手販売権(明治9年10月1日付で発効)を取得した旧三井物産初代社長の益田孝が三池から島原半島に渡り港を見て回った結果、口之津港が石炭の積換港に選ばれ、明治41(1908)年に熊本県の三池港が完成するまでの間、石炭海外輸出の国際貿易港として重要な役割を果たしました。
口之津歴史民俗資料館は、税関の特徴を残した建物内を利用して、当時「旧長崎税関口之津支署庁舎」で行われていた税関業務に関わる様々な遺品が展示されており、当時の税関業務を想起することができます。また、内部は当時の税関受付の窓口が保存されており、当時の建物内部の様子を知ることができます。
資料館の外に目を向けると、干潮時には「明治日本の産業革命」で賑わった旧長崎税関口之津支署庁舎」荷上場の階段と石垣が現れます。当時の石垣は根石しか残存していないため満潮時に見ることはできませんが、「旧長崎税関口之津支署庁舎」の平面図と照合すると当時の遺構である可能性が高く、手続き(荷揚げ)のために着岸した人々の姿が目に浮かびます。特に、残存する石垣は世界文化遺産の構成資産になっている三角西港岸壁の石積同様、安山岩の切り石を高度な技術で積み上げており、当時の技術の高さと石垣の美しさに感動を覚えます。
口之津港は、石炭の積換港に選ばれたことからも分かるように天然の良港で、港の歴史は中世まで遡ります。口之津港は世界文化遺産ではありませんが、港(口之津歴史民俗資料館)から見るフェリーや漁船の行き交う風景は素晴らしく南蛮貿易港(中世)や石炭積換港(近代)として繁栄した当時の情景が容易に想像されます。
南島原市にお越しになった際には、口之津歴史民俗資料館までぜひお立ち寄りください。
楽しみにお待ちしております。
口之津歴史民俗資料館
木村岳士

