

第14回「学芸員のつぶやき」は石川県銭屋五兵衛記念館の濱岡伸也さんです。
石川県銭屋五兵衛記念館は、19世紀前半に北前船交易で全国を航行した加州宮腰〔現・金沢市金石〕の海商銭屋五兵衛の人物像を紹介し、その偉業についての顕彰と資料収集、保存、情報提供を目的に平成9年(1997)7月に開館しました。
隣接する大野湊神社の社叢や大野湊緑地公園の緑豊かな周辺環境の中、廻船問屋の経営の中心である「蔵」が連立するイメージで建造された記念館は、江戸時代前半から加賀藩の外港として藩の米蔵などが置かれていた宮腰町を表すシンボルとしても存在感を示しています。
館内の展示構成は、①五兵衛生い立ちの背景、②海の豪商銭五、③五兵衛の晩年、④銭五の思い出、からなり、銭屋五兵衛の波乱万丈の生涯を、シアターや北前船実寸1/4の模型、銭屋商圏マップ検索装置などで学ぶことが出来ます。質流れの古船からスタートし、近世を代表する海運業者となり殖産事業に貢献。晩年河北潟埋め立て事件で獄死するまでの生涯を、ぜひ追体験してみてください。
また、館内には、旧銭屋本宅から移築・整備した茶室「拾翠園(しゅうすいえん)」があります。お茶や俳句に造詣が深かった銭屋の人々、拾翠園は五兵衛の嫡男喜太郎が用いた俳号です。事前に申し込みいただければ、使用していただけます。
記念館の隣に「銭五の館」があり、記念館と一緒に公開しています。建物は旧銭屋本宅の主屋の表半分ほどと3階建ての土蔵からなります。金沢の町屋の特徴を持ち、袖卯達や店作り、深い庇を持つ2階建ての主屋には、銭屋一族ゆかりの遺品を展示、往時を偲ぶことができます。一般公開のほか、春秋に行われる銭五茶会の主会場となっています。
金沢港クルーズターミナルから約2.5km、車で5分ほど、ぜひご来館ください。
石川県銭屋五兵衛記念館 学芸員 濱岡 伸也(はまおか のぶや)

