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「今月の逸品ver.3」神戸大学海事博物館の『ふね遺産 進徳丸』
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  • 練習帆船進徳丸

    練習帆船進徳丸

  • 播磨灘で任意擱坐・炎上大破の進徳丸

    播磨灘で任意擱坐・炎上大破の進徳丸

  • 進徳丸メモリアル

    進徳丸メモリアル

「今月の逸品ver.3」第19回目は、神戸大学海事博物館の進徳丸です。

      
 『ふね遺産 進徳丸』
              
-震災に始まり震災に終わった進徳丸-
  進徳丸は大正12(1923)年7月28日に三菱造船株式会社神戸造船所の第129番船として着工し、同年12月9 日に進水、翌大正13年2月25日に竣工した神戸高等商船学校の大型練習帆船です。
  4本あるマストの内、フォアマスト(Fore Mast)にのみ横帆を、その後方のメイン(Main)とミズン(Mizzen)及び最後尾のジガー(Jigger)マストに縦帆を装備したバーカンティンと呼ばれる帆装船型で、設計・帆装・索具の配列などは英国の帆船建造会社Lamage & Ferguson社が担当し、輸入鋼材で建造されています。船名の”進徳”は、進水の年の9月1日昼に発生した関東大震災に際して、同年11月に発布された国民精神作興に関する詔書中にある「智徳並進」の一節によります。昭和19(1944)年9月に帆装を撤去して汽船練習船に改装、翌昭和20年7月24日には空襲警報下、播磨灘で退避錨泊中に米艦載機の攻撃を受けて大惨事に見舞われ任意擱座しました。昭和21年8月に練習船として復活、昭和38(1963)年3月31日に廃船、さらに昭和42(1967)年5月23日には神戸商船大学の構内に陸上げ保存され、海洋訓練や海事の啓発活動などに宿泊施設として利用されました。平成7(1995)年1月17日の早朝に発生した阪神・淡路大震災で至近の護岸と設置地盤が崩壊して修復不能に陥り、平成8(1996)年3月に解体撤去されました。平成10年3月31日、今まさに大海原へ出帆しようとする進徳丸を模した『進徳丸メモリアル』が完成しています。
[就航時]
  総トン数:2,518.42トン 全長:109.10m 幅:13.41m 喫水:6.96m 航行区域:遠洋区域  
  定員:士官16人・属員56人・生徒120人 主機関:三段膨張往復機関×2基
  機関出力:1,250 IHP(625 IHP×2) 汽走速力:10.5ノット  船名符字:JOYA
  檣高(マスト高):182呎(フィート);海面から55.5m
  帆の枚数:初期20枚、昭和5(1930)年のダブルガフ改装後23枚 
[改装後]
  総トン数:2,792.43トン 全長:91.00m 幅:13.41m 喫水:6.40m 航海速力7.5ノット
  航行区域:遠洋区域(老朽化のため非国際) 定員:乗組員72人・生徒128人

※帆船時代の総航程(航走距離):30万8千海里(約57万km)、汽船時代の総航程:22万1千海里(約41万km)、
 海の若人の育成数:1万1千9百人、陸上げ保存中の利用者数:10万有余人

 関東大震災に始まり、戦禍を経て阪神・淡路大震災に終わるという波乱に満ちた生涯でした。進徳丸は現存しませんが、大正、昭和、平成の時代をその趨勢とともに駆け抜けました。令和3(2021)年7月20日、公益社団法人日本船舶海洋工学会においてふね遺産第38号(非現存船第8号)に認定されたことを記念して7月30日から令和4年5月27日の会期で企画展2021『ふね遺産 進徳丸』を開催しています。
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