

第35回「学芸員のつぶやき」は、小樽港湾事務所内みなとの資料コーナーの村上嘉唯さんです。
小樽といえば海鮮、スイーツ、運河、ガラス細工…。しかし今、アツいのは「防波堤」!なんとこの防波堤は、100年以上も前から小樽港を激浪から護り続けてきた、超ベテランの港の番人です。その名も小樽港防波堤施設(北防波堤、南防波堤、島防波堤)!
このうち北防波堤は、明治から大正にかけて建設されました。調査設計から施工までを統括したのは、“港湾工学の父”として知られる廣井勇博士です。博士は火山灰を混ぜて耐久性を高めたコンクリートや、斜めにコンクリートブロックを積み上げるなど、当時としては最先端の技術を採用しました。またその構造は、波を真正面から受けず、斜めに受け流すよう工夫され、防波堤本体を細くすることが可能となりました。
そんな小樽港防波堤施設が、令和8年1月、国の重要文化財に指定されました。北海道開発局の土木構造物としては初の指定であり、港湾に関する重要文化財としては5件目となります。港湾都市小樽の発展を支え続けた港湾施設の歴史的価値がまた一つ、国に認められました。
この防波堤のすごさをもっと知りたい方は「小樽港湾事務所内 みなとの資料コーナー」にぜひお越しください。ここは小樽港湾事務所の中にある、知る人ぞ知る小樽港の歴史に触れられる場所です。入場無料、平日9:00から16:30まで予約不要で気軽に見学できます。
ここには、廣井博士やその弟子の伊藤長右衛門の写真や著書をはじめ、防波堤建設時の写真や記録、そして世界初と言われている「ケーソン製作用斜路」の模型などを展示しています。さらに、実際に使われていた潜水服まで展示していて、「これ着て海に潜ったの!?」と驚くこと間違いありません。そのほか、コンクリートの長期耐久性を調べるために作られた供試体「モルタルブリケット」など貴重な資料も展示しています。
小樽港湾事務所構内には、実際にケーソン製作の際に使用した斜路式ケーソン製作ヤードや実際に使用していた北防波堤の斜塊ブロックを間近で見ることができます。小樽港の歴史を学べて、知的好奇心をくすぐること間違いありません。
小樽港の防波堤は先人たちの優れた技術と努力によって築かれた施設、そして「小樽港湾事務所内 みなとの資料コーナー」は、その物語を未来へと語り継ぐ施設です。小樽に来たら、ぜひお立ち寄りください!
小樽港湾事務所内みなとの資料コーナー
村上嘉唯

