

第28回「学芸員のつぶやき」は関門海峡ミュージアムの大道智子さんです。
関門海峡ミュージアムは、福岡県北九州市門司区にあり、「門司港」と呼ばれる地域にあります。関門海峡や門司港の歴史や文化、自然、海峡の役割を紹介するため、平成15(2003)年に開館しました。
当館では、門司港や関門海峡の足跡をわかりやすくお伝えするため、人形美術家が制作した歴史の一場面や当時の船の模型を展示(海峡歴史回廊)、大スクリーンによる映像(海峡アトリウム)によって海峡や門司港の歴史などを紹介するなど、工夫された展示を行っています。また、大正時代の門司港の街並みを再現した「海峡レトロ通り」と呼ばれる展示ゾーンがあり、にぎやかな当時の門司港の雰囲気を感じることができます。では、門司港の「街」について少しお話ししたいと思います。
門司港は瀬戸内海と日本海を繋ぐ交流地にあたり、またアジア大陸に通ずる国際航路上に位置します。古代から中央(畿内)と地方を結ぶ交通路として官道や街道が整備されたことから、九州最北端に位置する門司は九州の玄関口を担ってきました。明治24(1891)年、石炭などの特別輸出港として指定され、国際貿易港として急激な発展を遂げました。
その一方で、関門海峡に面した門司港は好立地であることから、時代ごとに幾度となく争いに巻き込まれました。昭和20(1945)年6月29日には門司大空襲が勃発し、建物被害は全焼3,616戸、半焼99戸に上る甚大な被害を受けました。焼失した建物の中には、門司港の繁栄を象徴した日本銀行西部支店(辰野金吾などが設計)なども含まれました。
苦難を乗り越えた近代建築は今も息づき、「門司港レトロ地区」(平成7(1995)年完成)の中心的な役割を担い、保存活用されています。また、現存はしていないものの記憶に残る建造物は、当館の「海峡レトロ通り」で面影を感じることができます。
海峡レトロ通りには多目的ホールがあり、旧YMCA門司ブランチの建物内部を模して造られています。この会場にて、企画展「銘仙のよそおい ~大正・昭和のキモノモダン~」(会期:令和7年10月30日(木)~12月17日(水))を開催します。鮮やかな色合いと大きな図柄をあしらった銘仙は、大正から昭和初期にかけて女性たちに大流行しました。着物展示の他に、銘仙を着こなす当時の人気俳優や日本画家が描いた宣伝用ポスターなども併せてお楽しみいただけます。
門司港散策の前に「まずは関門海峡ミュージアム!」にて門司港や関門海峡のウンチクを携え、その後にレトロ地区の建築や街並みを散策するのがオススメです。皆様のお越しをお待ちしております。
関門海峡ミュージアム
学芸員 大道 智子

