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学芸員のつぶやき vol.26 瀬戸内海歴史民俗資料館(香川県立ミュージアム分館)
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  • 重要文化財に指定された瀬戸内海歴史民俗資料館

    重要文化財に指定された瀬戸内海歴史民俗資料館

  • れきみんの灯台

    れきみんの灯台

  • 屋上から望む瀬戸内海

    屋上から望む瀬戸内海

  • 空から見る瀬戸内海歴史民俗資料館

    空から見る瀬戸内海歴史民俗資料館

第26回「学芸員のつぶやき」は瀬戸内海歴史民俗資料館(香川県立ミュージアム分館)の黒田裕司さんです。




 香川県は高松市と坂出市にまたがる風光明媚な五色台に建つ瀬戸内海歴史民俗資料館は、瀬戸内地域の広域資料館として1973年に開館しました。当館には漁撈用具を中心に約30,000点の民俗資料がありますが、そのうちの5,966点が国の重要有形民俗文化財指定を受けており、所狭しと並べられています。また、著名な建築家である丹下健三や芸術家イサムノグチとも交流のあった香川県土木部建築課の職員 山本忠司が設計した当館は、建物そのものが建造物としての評価が高く、開館直後の1975年には日本建築学会賞を受賞、他にも建築界から多くの評価を得ています。そして昨年(2024年)12月には、ついに国の重要文化財の指定を受けました。これは、1970年代に作られた建造物としては初の快挙で、香川県としても大いに喜ぶとともに、今後のさらなる成長に向けて様々なPR活動に取り組んでいるところです。私はこの4月からここでの勤務を始めたばかりですが、個人的には、自然と調和し、山にたたずむ資料館の姿が南米のマチュピチュやティオティワカンをイメージさせ、特に空撮写真を見るとワクワクが止まりません。残念ながら現地では、資料館を上から見下ろすことはできませんが、写真を通して少しでもその興奮を味わっていただければ幸いです。


 さて、先日、ハワイから日系人28名が当館を訪問してくれました。スタッフと英語通訳の方のガイドに従いながら展示室をまわりつつ、興味深そうに展示物を見ていました。雨乞竜の展示を見た際には、「これは何のためのものか?」と私に質問してきたり、通訳の方が説明の言葉に詰まった時には「それは〇〇だろう!」などと言い合ったりと、積極的に館内ツアーに参加されていました。そして、最後に屋上展望台から戻る時に、こんなことがありました。


 私はご高齢の女性とお話しながら階段を下りていたのですが、その方が突然、「ぼつぼつ、ぼつぼつと」と日本語を口にされました。ふと彼女の顔を見ると、「私の祖母がよく言っていました。ぼつぼつ、ぼつぼつ」。ぼちぼちと歩こう、そんなおばあちゃんの言葉を思い出したのでしょう、優しい笑顔を浮かべていました。久しぶりに日本の地を踏み、日本での時間が経つにつれて少しずつ昔の日々が蘇ってきたのかもしれません。もしかしたら、資料館の展示を見て、おじいちゃんやおばあちゃんから聞いたことがあるといった記憶がまぶたに浮かんできたのかもしれません。もしそうであるなら、資料館が存在する意義がこんなところにもあるのだと、何だか嬉しくなりました。


 一つひとつの道具に使った人の命がこもっている。だからこそ、感じる何かがある。資料館の展示物に、改めてそんなことを感じた出来事でした。昔の人の息遣いを感じながら展示物を見ると、より受け取り方が変わってきますね。ぜひ、瀬戸内海歴史民俗資料館にお立ち寄りいただき、みなさんそれぞれの思い出を感じて欲しいものです。



瀬戸内海歴史民俗資料館  

主任専門職員  黒田裕司

  • 第1展示室の船たち
    第1展示室の船たち
  • 雨乞竜とさくら
    雨乞竜とさくら
泡
灯台

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