

第12回「学芸員のつぶやき」はあおもり北のまほろば歴史館の福士美香さんです。
あおもり北のまほろば歴史館は、青森市を中心とした郷土の歴史や民俗を総合的に紹介する展示施設として開館し、今年で9周年を迎えます。旧みちのく北方漁船博物館と旧稽古館の資料を約900点展示しています。
見どころは、国指定重要有形民俗文化財「津軽海峡及び周辺地域のムダマハギ型漁船コレクション」と 県指定有形民俗文化財「青森の刺しこ着」です。この「刺しこ着」は江戸時代から昭和初期に青森の農漁民が着た衣服です。
また、北前船(4分の1縮小模型:全長8.5m、全幅2.7m、帆柱までの高さ9.0m)も圧巻です。
もともと木造船を中心に紹介していた博物館に、様々な民俗資料が加わったことで、充実した展示となりました。特に、青森の農漁民の着物文化は、北前船と深く関連づいているため必見です。寒冷地のため綿花が育たない青森で木綿は大変貴重で、上方から運ばれてきた荷のほとんどは木綿の布や糸、着物類でした。農民は、藩政時代に「農家倹約分限令」で木綿着物を着ることを禁じられ、麻の着物を着ていましたが、北前船が運んだ木綿糸を粗い布目に刺し綴ることで、温かく丈夫に、そして美しい模様を楽しむことができました。これが「津軽こぎん刺し着物」です。また漁民が着た「津軽裂織(さきおり)」は、木綿の古布の端切れを裂いてよこ糸として織り込むことで、風を通さず水をはじく防寒・防水作業着となりました。
来館の際は、北前船と青森の伝統的な着物を合わせてご覧になり、船が運んだ技術や文化の魅力も感じていただきたいと思います。
こぎん刺しの制作体験キットも人気です。昔の人の技の素晴らしさを感じることができるのでおすすめです。ちなみに津軽出身の私は学校の家庭科の授業で初挑戦しましたが、美しい模様が完成したとき時の喜びと共に、刺し間違えて糸をほどく時の悲しさも忘れられません。
あおもり北のまほろば歴史館 福士美香

