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学芸員のつぶやき NO.10 物流博物館 三田芳美
ミュージロー
2024/02/15
三角旗
  • 「物流ターミナル」大型ジオラマ模型

    「物流ターミナル」大型ジオラマ模型

  • RORO船「ひまわり7」

    RORO船「ひまわり7」

  • 「日本号」模型

    「日本号」模型

第10回「学芸員のつぶやき」は物流博物館の三田芳美さんです。


 物流博物館では、暮らしと産業に欠かせない物流について紹介しており、常設展示では、江戸時代の菱垣廻船、明治時代の蒸気船、現代の自動車専用船・コンテナ専用船など船の模型もいくつか展示しています。


 展示模型の中で一番大きいのが、地下1階の「現代の物流」展示室にある「物流ターミナル」ジオラマ模型です。幅約8メートルの扇形の中に、鉄道・トラックターミナル、港、空港が配され、センサーで人を感知すると、貨物列車やトラックが走り、ターミナルの一日の様子を4分30秒ほどで再現します。港の部分は東京港大井埠頭のコンテナバースをモデルとし、3,100TEUの外航コンテナ船、内航船が碇泊しています。本来、ガントリークレーンによるコンテナ荷役の様子がご覧いただけるのですが、現在修理中です。かなり精巧な作りで、開発者の方しか直せず、製作から25年が経過していることもあり、定期的に修理やオーバーホールを行っています。コンテナを吊り下げるワイヤーが絡まってしまったのを何とかしようと、狭い作業スペースしか確保できないジオラマの中で、8時間悪戦苦闘した学芸員もいます…。ちなみに、ジオラマ模型に走らせている鉄道模型の掃除が、毎朝の開館準備のメイン作業になっています。

 なお、ジオラマ内のコンテナ船は、現在の世界最大級の24,000TEU型の船と比べるとかなり小さく感じますが、ジオラマを作成した1998年当時としてはさほど小規模ではありませんでした。展示解説の際は、現代物流にとって欠かせないものとして海上コンテナの重要な役割を必ず紹介しています。


 また、収蔵しているものの、常設展示ではご紹介できない模型もあります。その一つが、RORO船「ひまわり7」(2013年竣工・NX海運㈱の定期航路サービスで運行中)の模型で、もともと東京都・汐留にあった日本通運㈱本社ビルのロビーに飾られていたものを、2021年の移転に伴い引きとったものです。ケースの長さ1.9メートルと当館にとっては大型で、エレベーターよりも長いため階段を使い6人がかりで搬入しました。このほか、1964年に竣工し、当時世界最大といわれた起重機船、600トンフローティングクレーン「日本号」の模型などもあります。

 普段は身を潜めている模型たちですが、2022年度に開催した特別展「日本通運からNIPPON EXPRESSへ 運ぶのりものでたどる150年のあゆみ」で展示し、20数年ぶりに公開となったものもありました。(次回の公開時期は未定です。)


 物流博物館 三田芳美

泡
灯台

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