第5回「学芸員のつぶやき」は名古屋海洋博物館の吉井 誠さんです。
施設の名前は「名古屋海洋博物館」。この名称で中身(展示)にピンとくる人(特に子供たち)は少ないのではないでしょうか?「名古屋海洋博物館」の目と鼻の先(徒歩3分)には「名古屋港水族館」があります。この名前を聞けば、すべてと言っていい方が展示のイメージができるのではないでしょうか。「水族館」「動物園」は博物館(というよりは娯楽施設としてのとらえ方が大きいかもしれませんが)として、日本人にはおなじみな名称なのでしょう。「海洋」とは一般的に「広い海」のことを指します。つまり「海」全般に関することについて展示を行っている施設ということになります。とはいえ、そうなってくると分野が広すぎてとてもカバーできません。
そこで当館では展示テーマのひとつとして「日本一の国際貿易港・名古屋港」をとり上げ、それを中心に紹介しています。つまり、「港」を通して人(来館者)と海のかかわりを紹介する、そこから「海(海洋)」のことに興味を持ってもらいたいという考えなのです。常設展は展示に工夫を凝らし、幅広い年齢層に楽しんでいただけるよう、そしてハンズオン、疑似体験コーナなどを取り入れ、体験型展示も多用しています。手前味噌になりますが、コンパクトに効率よくまとめられていて、来館される方には好評を得ています(いい意味で期待を裏切っているようです)。
ただ、人の興味は多岐に渡っています。常設展だけではなかなかカバーできないこともあります。そこでひとりでも多くの方に興味を持つきっかけを提供するために、切り口を変えたことも実施しています。いわゆる、ワークショップとかイベントと呼ばれるものです(特別展など常設でないものもこちらに含まれます)。
当館で実施している一例を紹介すると(カッコの中のリンク先に写真あり)、
「3D 立体色紙を作ろう!」 【休み工作教室「3D 立体色紙を作ろう!」を開催しました② 】
「ペーパークラフト教室」 【「ペーパークラフト教室」を開催しました!】
「みなと(港)」が「海を活用する入り口」であるならば、「名古屋海洋博物館」は「海の入り口」として、「海を知るきっかけ」を提供する場所として少しでもみなさんに楽しんでいただければと思います。
「みなと」が入り口ということは、「みなとの博物館」ならぬ「博物館はみなと」ということもできるかもしれません。少し強引ですが・・・。
名古屋海洋博物館 吉井 誠