今回ご紹介するのは東京臨海部広報展示室TOKYOミナトリエ 「第三芝浦丸のマスト灯と伝声管」です。
第三芝浦丸は、浚渫した土砂を積んで運ぶ土運船を動かしていた曳船です。1926(大正15)年に進水し、隅田川口改良工事(第三期)が進み、浚渫工事が盛んに行われていた東京港内で活躍、築港工事に貢献しました。
同船の規模は、総トン数約37トン、長さ約18メートル、幅約4メートルで決して大きな船ではありませんが、170馬力の能力で土運船を引いて埋立て場所へ土砂を運びました。
展示しているマスト灯は、この船の所在を周辺から確認するためのもので、夜間になると第三芝浦丸のマストに点灯した灯火をかかげました。マスト灯は菜種油を燃やして火を灯しますが、夜間には船の右側に緑灯、左側に紅灯、そして船尾に船尾灯がつけられました。これは法定備品として必置のものです。
また、伝声管は機関部と操舵室を結ぶ連絡用の長い管で、片方をとって吹くと笛がなり、相手がそれを聞いてその後両者が話し合うものです。
展示している伝声管は、実際に使われていたものの一部を切り取ったものです。
隣には、「東京市港湾局港務所」と焼印が押された楕円形の木製の板を展示しています。
この板は、東京港が国際貿易港として開港した1941(昭和16)年ころに事務所あるいは上屋の鍵束をつけて「キーホルダー」として使われていたものと推測されています。