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今月の逸品vol.31 館山市立博物館分館の「房総半島の漁撈用具、万祝」
ミュージロー
2014/05/13
千葉県
三角旗
  • 房総半島の漁撈用具

    房総半島の漁撈用具

  • 万祝

    万祝

「今月の逸品」第30回は館山市立博物館分館の「房総半島の漁撈用具、万祝」です。

三方を海に囲まれた千葉県は、太平洋を流れる黒潮の影響を受け、海からさまざまな自然の恵みを受けてきました。
千葉県の海岸部は、九十九里から外房地域にかけての太平洋に面する海岸と、東京湾に面した海岸とからなり、海岸地形も変化に富んでいます。各地域では、地形や海況に応じて貝採漁・採藻漁、網漁、釣り漁、突きん棒漁、捕鯨など多種多様の漁法が行われ、往古より海に携わる人々の生活が繰り広げられてきました。
館山市立博物館分館では、平成21年4月に千葉県から移譲を受けた旧千葉県立安房博物館が収集してきた、房総半島各地の海と生活に関わる資料を展示しています。
これらには各種の漁具類をはじめとし、漁具の製作・補修用具、交易・運搬用具、習俗・信仰関係資料などがあり、いずれも房総半島の伝統的な漁撈(ぎょろう)技術、および海に関わる人々の暮らしを知る上で大変貴重な資料です。
館山市立博物館分館が収蔵する漁撈資料のうち、「房総半島の漁撈用具」2,144点が国指定の重要有形民俗文化財、「房総半島の万祝及び製作関連資料」1,403点が千葉県有形民俗文化財に指定されています。


万祝(まいわい)
万祝は、大漁などの祝いの席で船主や網元から配られた晴れ着で、神社仏閣を参拝するとき、一同が揃って着たものでした。イワシ漁の豊漁を契機に江戸時代後期に房総半島で発生したといわれ、静岡県から青森県にかけての太平洋沿岸に広がっています。
背模様には船主の家紋(かもん)や家印(いえじるし)などが配され、裾模様には漁の様子や縁起の良い絵柄が鮮やかな色彩で描かれています。同じ絵柄を大量に染める必要から、主に型紙を使って製作しました。
万祝の「万」は、数量としての万ということではなく、千漁・万漁といった膨大な水揚げ量をもたらす大漁、大数(たいすう)としての万という意味が込められています。万祝にはほかに「間祝」、「前祝」、「真祝」、「舞祝」、「摩祝」などの表記もあります。漁師たちの様々な想いや願いが文字に込められているといえます。


泡
灯台

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