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ミュージローブログ
「新着資料紹介」のコーナー 第3回「日本郵船歴史博物館」
ミュージロー
2014/09/18
神奈川県
三角旗
  • 日本郵船歴史博物館搬入の様子

    日本郵船歴史博物館搬入の様子

  • (左)修理の様子  (右)博物館に展示された氷川丸模型

    (左)修理の様子  (右)博物館に展示された氷川丸模型

  • 横浜港山下公園前に係留されている「氷川丸」

    横浜港山下公園前に係留されている「氷川丸」

  • (左)籾山模型の銘板   (右)細部の様子

    (左)籾山模型の銘板   (右)細部の様子

今回、新着資料としてご紹介するのは、日本郵船歴史博物館の籾山艦船模型製作所の手になる氷川丸の模型です。本模型は、第二次世界大戦前、日本郵船バンクーバー(カナダ)の代理店に飾られており、戦時中の対日資産凍結によりカナダ政府に没収されました。戦後、アイオワ州の自動車ディーラーが競売で本模型を落札しましたが、1979年遺族によりウィスコンシン海洋博物館に寄贈され1995年同館で展示されていることが判明しました。何度かの交渉を経て2013年末、日本郵船に返還が実現されました。


日本郵船歴史博物館での一般公開に先立ち、模型の破損や劣化の状態を確認したところ、経年劣化によるロープの断裂や船体に傷や凹み、ラッカーの剥離、汚れや埃が目立ちました。これらの修理を(有)佐藤船舶工芸に依頼し、展示の準備を整え、2014年2月18日より当館において一般公開となりました。


1930年に竣工した「氷川丸」は、戦前に建造された大型船の中で唯一現存する貨客船であり、「日枝丸」「平安丸」とともにシアトル航路に就航しました。戦時中には海軍特設病院船、戦後には復員輸送船をはじめ貨客船として内航、北米等の貨物輸送を行い、1952年7月には再びシアトル航路に就航し1960年10月まで運航されました。
建造当時最新鋭のB&W社(デンマーク)製の省燃費型ディーゼル機関を搭載した「氷川丸」は、船内装飾設計にはマルク・シモン社(フランス)を採用。アールデコ様式の意匠やデザインは華やかで美しくもあり、それらは現在も「氷川丸」で見ることができます。昭和という時代の歴史と深く関わり、いくつもの転変の末、横浜港山下公園前に係留されています。

本模型は、今や幻のモデルメーカーである籾山艦船模型製作所の作品であり、設計図面により正確に再現された模型の魅力は精緻かつ精巧に作られています(模型縮尺は実物の1/48、全長約340cm、幅約42cm)。
船体にはよく乾燥させた日本檜、梯子、ハンドレール等はマホガニー、金属部分は真鍮が使われ、艤装品一つを見てもウィンチの歯車の数、タラップの段数、アンカーの鎖の数まで、できるだけ実物どおりに再現され、職人の技術の熟練度もさることながら、模型細部から全容まで、まさに芸術的です。


「氷川丸」はその歴史の中で、何度となく改修、改装されました。そのため、竣工当時の姿を知ることのできる本模型は、貴重な文化遺産といえます。


現在当館では「氷川丸」とともに戦前の客船時代を飾った籾山艦船模型製作の「浅間丸」「鎌倉丸」等が展示され、いつでも見ることができます。
竣工当時の船影を再現した本模型と山下公園に係留されている現在の「氷川丸」とを見比べながら、その航跡をたどってみてはいかがでしょうか。

氷川丸摘要
竣工    1930(昭和5) 年4月25日
船種    貨客船
速力    16ノット
建造所   横浜船渠株式会社
船客定員  289名
総トン数  11,622トン
全長 163.30m
幅     20.12m
主機    B&W複動4サイクル・ディーゼル機関2基2軸



泡
灯台

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