最新情報News

ミュージローブログ
「新着資料紹介」のコーナー 第4回「横浜みなと博物館」
ミュージロー
2014/10/17
神奈川県
三角旗

今回、新着資料としてご紹介するのは、横浜みなと博物館の鉄螺旋杭(スクリューパイル)の動画です。

下部に船のスクリュープロペラのような螺旋沓(スクリュー)をつけたこの鉄の棒は、横浜港の大さん橋を100年間、海底から支えていた鉄杭です。
横浜港は、開港して30年たっても、船を横付けできる港の施設がありませんでした。1894(明治27)年3月にようやく、横浜港の最初の築港工事で大さん橋が建設されました。設計はイギリス人技師H.S.パーマー。鉄螺旋杭(スクリューパイル)約570本を海底に貫入して、その上に床板を張って、船が横付けできるようにしたものです。1本ずつ人力で捻じ込まれました。鉄杭でできているので鉄桟橋といいました。この鋳鉄製螺旋杭(スクリューパイル)はイギリス・グラゴーのバロー・フィールド鉄工所製。鉄杭のスクリューは、支持力を高めるために取りつけられたものです。スクリューの直径は約150㎝。杭の直径は約30㎝。4本の杭をつないで約16~20mにして使用しました。
鉄杭は高価でしたが、当時ヨーロッパでは実績があり施工上信頼性のある工法でした。パーマーは信頼できる母国の技術を横浜港に導入したのです。日本では、1870(明治3)年の大阪の高麗橋をはじめ、武庫川鉄橋、羽根田燈台、港では1876(明治9)年の神戸鉄道桟橋が最初でした。横浜港の後も大阪港大桟橋、名古屋港桟橋も鉄螺旋杭(スクリューパイル)で建設されました。
横浜港では、第2期築港工事(1899~1917年)の大さん橋拡張工事で新しい杭が増設され、また関東大震災の復旧工事では大きな被害を受け新替されました。その後は大さん橋再整備工事にともない1994(平成6)年にすべて引き抜かれるまで、ずっと大さん橋を支えてきました。
紹介した鉄螺旋杭(スクリューパイル)は、この時引き抜かれた1本です。鉄螺旋杭(スクリューパイル)は何本か保存されていますが、創建時のものはこれだけです。横浜港建設の歴史を物語る鉄螺旋杭(スクリューパイル)です。

この大さん橋ができて今年で120周年。これを記念して当館では企画展「日本の海の玄関 大さん橋物語」を11月24日(月・振休)まで開催中です。時代とともに姿を変えてきた大さん橋を紹介しています。展示の中で、今回初めて、鉄螺旋杭(スクリューパイル)をどうやって海底に捻じ込んだのかの画像化(動画)を試みました。当時の人々の知恵と工夫を是非ご覧ください。


泡
灯台

Pagetop