「今月の逸品ver.2」がスタートしました。
第1回目は、横浜みなと博物館の「日本丸新聞 1960 ニューヨーク航海」です。
かつて、練習帆船日本丸では、航海ごとに実習生による船内新聞が発行されていました。内容は国際情勢をはじめ、政治、日本国内の社会問題や事件、プロ野球などスポーツの結果から航海中の船内の出来事に至るまで、表と裏にぎっしり記されていました。最初は慣れないガリ版刷りで、創刊号ではまだ字もたどたどしかったのが、号を重ねるごとに書体や紙面の構成もしっかりしてきています。新聞は最終号になると表紙と巻末にその航海の航路図を付けて綴られました。新聞からは、当時の実習生による自主的な文化活動の充実がうかがえ、実習生活の一面を示す貴重な資料といえます。
日本丸は、横浜で保存、公開されるまでの54年間の航海で、何度か国際親善のために記念航海に従事しました。この新聞はちょうど1960(昭和35)年日米修好百年祭の記念航海の時のもので、日本丸はロサンゼルス、ボルチモア、ニューヨークに寄港し、現地で日本代表として様々な友好行事に参加しました。
今年2017(平成29)年、帆船日本丸は、1930(昭和5)年の建造以来の日本海運における貢献と、造船史の上でも極めて希少な大型帆船であることが評価され、国重要文化財指定の答申を受けました。これを記念して7月15日(土)から9月3日(日)まで企画展「国重要文化財指定記念 帆船日本丸の航跡」を開催します。会期中は、7月22日(土)記念シンポジウム、8月19日(土)記念講演会、8月26日(土)記念映画会も行います。ぜひ多くの方々にご覧いただき、日本丸のこれからの保存についてご理解、ご支援賜ればと思います。