2013年06月10日
今月の逸品vol.20 みくに龍翔館の「エッセルの日本回想録」
「今月の逸品」第20回は、みくに龍翔館の「エッセルの日本回想録」です。
三国湊とオランダ人工師エッセル~その足跡をたどって~
江戸時代から明治時代にかけて、海運業で栄えた三国湊。九頭竜川河口に位置し、水深の維持に支障をきたしていたことから、港の修築工事をすることになりました。そこで、招聘されたのが、オランダ人工師エッセルです。エッセルは、明治9年(1876)に三国を訪れ、港湾修築工事の設計を行いました。そのわずか2年後にエッセルは日本を去りますが、工事は同じくオランダ人技術者のデ・レイケによって引き継がれ、明治15年に見事、三国港突堤が完成。日本の近代土木史に、大きな足跡を残しました。現在、三国港突堤は、国の重要文化財や近代化産業遺産に指定されています。
エッセルが日本を離れてから30年以上も後にまとめられた回想録。その中には、三国での思い出がいきいきと記されていました。
エッセルの日本回想録
エッセルは、明治43年(1910)、2年がかりで自分の足跡を20数冊の回想録にまとめました。このノートはその第2巻で、日本行きを希望したきっかけにはじまり、帰国途中の船旅の紀行までが記されています。三国、鳥取、新潟、山形、福島のことが特に詳しく記され、当時の土木事情を知る貴重な文献となっています。風光明媚な三国の風景、海女漁の様子、聖なる地“雄島”など三国滞在中の詳しい記述も多く見られ、三国がエッセルにとってたいへん印象深い地であったことがうかがえます。
エッセルの日本回想録
三国港突堤工事中の写真
エッセルの日本土産
at 14時15分